2011年12月30日金曜日

タンホイザーで開幕した2011年のバイロイト音楽祭は、楽劇《トリスタンとイゾルデ》で閉幕しました。今週のNHK-FM《バイロイト音楽祭2011》の放送も、今夜の《トリスタンとイゾルデ》が最後となりました。昨日の《パルジファル》を聞き終えて、あぁ、年越しだなぁと感慨にふけって今夜の放送を忘れるところでした。

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楽劇《トリスタンとイゾルデ》の舞台はコーンウォルでドイツではないのですが、惚れ薬を飲んでしまって国王に貢ぎ物として連れてきた姫に恋心を抱いてしまい、敵前逃亡ならぬ帰国直前に姫と逃避行してしまったトリスタンという騎士の悲しい物語。国王の側近に負わされた傷がもとで、最後は死んでしまうのですが幻夢の中で姫に再会する演出や、実際に姫が到着した時には既にトリスタンは事切れていた。と《ロミオとジュリエット》みたいな解釈が様々で、また、初心者でもいろいろ想像できるのが人気の理由でしょう。
歌舞伎などにも翻案しやすいですね。

全3幕、それぞれが80分から90分ほどで鑑賞しやすい。《前奏曲と愛の死》は聴く機会も多いので、まずはこれに馴染んでから本編を聴くのが初心者の方へのお薦め。
わたしの体験では、第2幕から味わいました。オペラの難関はドラマの展開とどういうことを歌っているのかな、と言うことだけど第2幕は単純に『あなたが好きだ』、『わたしも愛してます』とお互いの愛を確かめ合うトリスタンとイゾルデのふたり。『まもなく、夜が明けます』とイゾルデの侍女ブランゲーネが遠くで歌う。とわかりやすいので初めて聴く録音でも、ここを聴いて良い、悪いをまず判断基準にしています。

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楽劇《トリスタンとイゾルデ》のオペラ録音盤のベスト3は、LPレコードの時代に限ればクライバー盤、バーンスタイン盤、フルトヴェングラー盤でしょうか。

クライバー盤は、ルネ・コロがトリスタンを"美しく"歌っています。今では聴く事の少ない希少なスタイルのテノール。ルネ・コロのファンになって、他に歌っているものは無いか・・・と、言うのがオペラを聞き慣れるきっかけになりました。


バーンスタイン盤は、ペーター・ホフマンがトリスタンを"若々しく精悍"に歌っています。ロック・アルバムも出しているテノールで、オペラっぽく無いところが受け止め方で良い、悪いを決めそう。
でも、第2幕は一番優れていると気に入っています。


フルトヴェングラー盤は、録音はクライバー盤、バーンスタイン盤よりも古いけどステレオ録音をスタジオで行った重要なレコード。フルトヴェングラーは録音を聴いて、ステレオでレコード化することに乗り気になったと言います。これに続く企画が続々上がったのに残念ながらフルトヴェングラーの置き土産になりました。
歌唱はワーグナー演奏のスタンダードと言えるもので、全体、これを超えて満足させてくれる録音は在りません。

さて、今年で《ニュルンベルクのマイスタージンガー》が最後となり、2012年は新演出の《さまよえるオランダ人》で初日を迎えます。2013年はバイロイト音楽祭のアニヴァーサリーになるので、《リング》の新演出を控え来年はその前哨戦となりそうです。

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