1時間の音楽プログラムでジャンルを分け隔て無く楽しんで頂けるのが嬉しい。それが、こばとからのお願いです。癒しのひとときお届けします。
背の高いマエストロではありませんが、あえて指揮台を使うことなくエンターテインメントぶりを楽しませてくれるのがゲンナジ・ロジェストヴェンスキー。それは演奏姿、分厚いオーケストレーションに埋もれそうなパッセージを気の利いた聞かせ方をしてくれることで馴染んだ曲さえ新鮮に感じさせてくれます。今日の午後の「海外コンサート」。ロジェストヴェンスキーの80歳を祝った演奏会から4月11日と16日の演奏会からの選曲です。
11日の「弦楽の為のセレナード」と「大序曲1812年」は良くお馴染みの曲。しかし「弦楽の為のセレナード」第1楽章の出だしは雑然とした空気感・・・誕生祝いの祝賀感が演奏が始まるまでホールに残っていたのかも・・・のなかで始まって、カラヤンですら重厚さで聞かせていたこの名曲が祝典的な響き、ハーモニーで驚かされました。いかにもソビエトの音楽伝統だと感じました。そうして聞き進んでいて、第2楽章から録音をとらないままだったことが残念に感じられるほどで第3楽章のソロのパッセージが高い音から低い音に降りてくる部分など新鮮で、絹のような艶やかな弦楽器の美しさはこれだなと再確認。チャイコフスキーの“アイネ・クライネ・ナハトムジーク”であると耳の奥の記憶に刻みつけておくことにしました。今後、この「弦楽の為のセレナード」を聴く時のひとつの規範になった演奏です。
16日からの「組曲」はバレエ音楽のようでしたし、交響曲変ホ長調はチャイコフスキーが「悲愴交響曲」を書く以前に着手していた未完のスケッチをオーケストレーションした音楽。作曲家が人生をスコアにしたというものですけれども、穏やかで心地良い交響作品。茫洋としまりは「悲愴交響曲」と比較すれば無いし、交響曲第5番のスマートなものでも無い。バレエ組曲「くるみ割り人形」は好きな音楽ですから、もう一つのバレエ組曲として楽しんでいくのがステキです。
80歳を祝った演奏会で、こうした誰もが滅多に取り上げない音楽を聴かせてくれるゲンナジ・ロジェストヴェンスキーをこれからはより注意深く聞いていけるのを期待しています。
- 海外コンサート - ▽ロジェストヴェンスキーの芸術 「セレナード ハ長調 作品48」 チャイコフスキー作曲
(33分02秒)
(演奏)ロシア国立アカデミー・カペレ交響楽団
(指揮)ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー 「序曲“1812年”作品49」 チャイコフスキー作曲
(15分40秒)
(管弦楽)ロシア国立アカデミー・カペレ交響楽団
(管弦楽)ロシア国防省中央軍楽隊の管楽器セクション
(指揮)ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー
~ロシア・モスクワ チャイコフスキー・ホールで収録~
<2011/4/11>
(オルフェウス・ラジオ提供) 「組曲 第1番 作品43」 チャイコフスキー作曲
(42分03秒)
「交響曲 変ホ長調(ボガティリョフ補筆完成版)」
チャイコフスキー作曲
(31分18秒)
(管弦楽)ロシア国立アカデミー・カペレ交響楽団
(指揮)ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー
~ロシア・モスクワ チャイコフスキー・ホールで収録~
<2011/4/16>
(オルフェウス・ラジオ提供) 「バイオリン協奏曲 第4番」 シュニトケ作曲
(34分30秒)
(バイオリン)アレクサンドル・ロジェストヴェンスキー 「交響曲 第8番 ハ短調 作品65」 ショスタコーヴィチ作曲
(1時間04分40秒) (管弦楽)アイスランド交響楽団
(指揮)ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー
~アイスランド・レイキャビク
ユニバーシティ・シネマで収録~
<2011/3/10>
(アイスランド国営放送提供)