午後の音楽は“銀河鉄道999”のシンセサイザー盤。昨年2月にHQCD盤で再発売。1981年クリスマスのLP(CX-7042)発売以来、幻となっていた一枚ですが2001年に初CD化、その際はジャケットは再現されませんでしたが2009年に限定発売。それに続くHQCD化による発売。と、書いたところで、わたしはこのジャケットデザインは初めて。日本コロムビアのデジタル・トリップ・シリーズの存在は知っていましたけれども興味は持てなかった。
だって電子音は音に厚みが無くて、交響組曲と言った形でヒットしたアニメ音楽をオーケストラのスコアをシンセサイザーに置き換えた程度の手間だけをご苦労様と言いたいような、クリエイティブなお仕事ではないように感じられたから。当時サンプルでいくつか聴いた楽曲の出来が悪かっただけなのかもしれません。
それよりもジャズアレンジのものが当時のわたしの耳には新鮮でした。もとより映像効果、アニメーションに使われることの多かった電子音より、ジャズの音楽の仕組みがわかりやすいものでしたから。
当時YMOが大ブームで、亜流に感じられたし、シンセサイザーの音に厚みと人肌が不足しているからYMOにはドラムスやベースを人がプレイしていたんだと思います。
それにこの頃のわたしはドイツ系のシンセサイザー・サウンドに浸りっきり。タンジェリンドリームがお気に入りでした。楽器にはそれぞれ個性があり、弦楽器と管楽器の違いは音色だけでは無くて音の持続・増減の仕方が違うこと、弦楽器でもヴァイオリンとヴィオラ、チェロは単にカバーしている音の帯域が違うだけのものでは無いそれぞれの魅力があります。音楽と楽器の歴史は長くて数多くの楽器が生まれてきましたが、アルペジョーネのように一曲だけが歴史に残っている楽器だってある。発明されたけれども消えていった楽器、新しく生まれた楽器に追いやられていった楽器もある。
シンセサイザーは楽器として生まれ生き延びるには、タンジェリンドリームのようなアーティストが居たからだと思います。
映画“さよなら銀河鉄道999~アンドロメダ終着駅”は全編をシンセサイザーで音楽にするという構想でスタート、作曲の依頼が東海林修さんにあったわけですが、このCDの中でも白眉の“光と影のオブジェ”が映像を演出することに成功しています。ただBGMとして聴くには心地の良いCDです。しばし懐かしさも感じさせてくれます。夏の終わりにいかがでしょうか。この季節に聴くのには最適だと感じるので評価は ★★☆
一瞬一瞬を
大切にする人は
時代の輝く星に
なることができる。(作者不明)